トップ > ニュース&トピックス > 大学病院が専門医による訪問診療を始めました

ニュース&トピック

大学病院が専門医による訪問診療を始めました

開所式の様子、挨拶をする小宮山学長

信州大学医学部附属病院は、平成21年6月1日に難病訪問診療センター(以下は訪問診療センターと略します)を開設しました。


吉田センター長より、センターの紹介や利用方法などをQ&A方式で説明いたしております。


このたび長野県の支援を受けて、平成21年6月1日に信州大学医学部附属病院難病訪問診療センター(以下は訪問診療センターと略します)が開所されました。
開所式、その後の祝賀会では村井仁長野県知事、大西雄太郎長野県医師会長、小宮山淳信州大学長など多くの来賓の方々にご出席頂き、激励のお言葉を頂きました。
訪問診療センターの実際の活動内容をQ & A形式でご紹介致します。


Q1 どういう患者さんが訪問の対象になりますか?
A1 対象は、特定疾患受給者証をお持ちの患者さんで長野県内に在住の方です。特定疾患とは国が指定した“難病”で、医療費が国庫補助の対象となる疾患です。現在、45疾患が指定されています。
具体的には、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、パーキンソン病などの神経疾患、全身性エリテマトーデスや強皮症などの膠原病、などです。平成19年度の集計によれば、長野県内には45疾患で計10,225名の患者さんがおられます。
この中で実際に訪問診療の対象となるのは主として神経疾患ではないかと思います。
このことは平成19年6月1日に開設された長野県難病相談・支援センターの相談実績からも明らかです。
神経疾患は徐々に進行していく運動障害、発語・嚥下・呼吸障害、認知機能障害などのために患者さん本人のみならず、介護するご家族の肉体的、精神的、経済的な負担が大きいからです。


Q2 申し込みはどのようにするのですか?
A2 患者さん・ご家族が訪問診療を希望されてから実際の訪問診療に至るまでの流れを示します。

難病訪問診療センター運用フローチャート

今のところスタッフは私一人ですので、申し込みは難病相談・支援センターの相談・支援員 (両角由里看護師)が手伝ってくれています。
両角看護師が患者さん・ご家族と私との仲介役となって訪問の日時を決定しています。
直接、難病相談・支援センターに電話(0263-34-6587)か、FAX(0263-34-6589)で申し込んで下さい。
またかかりつけの病院・診療所の医師、市町村や保健所の保健師さん、訪問看護師さんを通して、難病相談・支援センターに申し込んで頂くこともできます。
申し込みの際には患者さんの病名、病状、かかりつけの医療機関・医師名などを確認させて頂きます。


Q3 訪問診療はいつやっているのですか?
A3 訪問は週2日(主として火、水曜日)行っています。水曜日はほぼ丸1日訪問診療にあてています。
6月の第2週から実際の訪問を始めてこれまでに訪問させて頂いた方は12名になりました。
当初の予想に違わず、いずれも神経難病の患者さんです。
なお当院の訪問診療は緊急時の往診ではありません。あくまであらかじめ日程を調整した上での訪問診療です。


Q4 誰が訪問しているのですか?
A4 私自身が専用車を運転して訪問しています。
私は神経内科を専門とする内科医です。
時間の都合が合えば、難病相談・支援センターの両角看護師も同伴しています。今後は場合によっては、信州大学病院で研修している若い先生方を同伴することもあります。
まだ初めて1ヶ月ですが、私たちの訪問に合わせて、担当の訪問看護師さんやケアマネージャーさん、地域の保健師さんなどが同席して下さることも多く、私自身とても助かっています。
患者さん・ご家族にとっても、このようなやり方は医療や療養上の問題点について関係者が情報共有するという点で非常に有用ではないかと思います。
当院の訪問診療は、あくまで地域の病院・診療所、保健所、訪問看護ステーションなど、在宅医療を支えておられる施設・スタッフの方々に対する後方支援です。これからも訪問診療の際には、関係するスタッフにはお声をかけて時間の許す限り、同席して頂くことを考えています。


Q5 実際の訪問診療ではどのようなことをやっているのですか?
A5 これまでの経験からは在宅時間は2時間程度です。
患者さんの診察はもちろんですが、それ以上に患者さんや介護されているご家族から、療養・介護上のいろいろな不安や悩みをお聞きすることに多くの時間を使っています。
どうしても病院や診療所においては、少ない医療スタッフと限られた時間の中で多くの患者さんを診る必要があるため、私たち医療スタッフが患者さんやご家族と対話する時間を十分に確保できません。
これは私自身も病院診療においては常々実感しています。訪問診療では、時間的な余裕がありますので、患者さん・ご家族には普段の診療では話せないでいることを思う存分語って頂ければと思います。なお、今のところ投薬や医療処置は行っておりません。


Q6 かかりつけ医に連絡しなくてはなりませんか?
A6 患者さんやご家族から連絡して頂かなくても結構です。
訪問診療から大学病院へ戻った後に見聞きしたことを電子カルテに入力し、その情報は必ずかかりつけの医師にも文書でお伝えしています。
従いまして、当院の訪問診療を希望される方は必ず大学病院にカルテを作って頂く必要があります。
一度も大学病院にかかられたことのない患者さんでは、カルテの作成に必要な情報(保険証や特定疾患受給者証のコピー、など)を用意して頂きます。


Q7 費用はかかりますか?
A7 この点はまだ一部調整段階です。
費用として発生するのは、初診・再診料や診療時間に応じた往診料、情報提供料などです。
長野県から財政的な補助を受けた事業ですので交通費はご負担して頂く必要はありません。


Q8 難病相談・支援センターと訪問診療センターは別ですか?
A8 どちらも長野県から補助を受けた難病患者さんのための支援事業です。
両者はスタッフ、組織も別でアプローチの仕方は異なりますが、難病患者さん、ご家族を支援するという目的においては一致しています。
また利用される方もかなり重複しています。上記しましたように難病相談・支援員の両角看護師は訪問診療にも深く関わっていますし、訪問診療センターの専属医師である私も難病相談・支援センターが関係する医療相談や講演、研修会をお手伝いしています。
両者は車椅子の両輪のごとく、互いに補完的、協調的に機能すべきものと考えています。 


最後に訪問診療センターは、まだ稼働し始めて1ヶ月ですが、この間にいくつか思いついたことを書いておきます。
まず病気は患者さんのごく一部であるということです。
どの患者さんにもこれまで生きてこられた中で家族をはじめ、さまざまな人とのかかわりがあり、出来事があります。実際に訪問しますと患者さんのさまざまな生き様が見えてきます。
病気はこれまでの患者さんの人生の営みや歩みを消し去るものではないということを強く実感します。
次にどの患者さん・ご家族もいろいろな知恵や工夫を駆使して、療養・介護をされていることに感心させられます。
こういう療養・介護上の創意工夫を他の患者さん・ご家族に伝えることも私たちの仕事であると思います。また長野県の広さも高速道路のありがたさもつくづく思い知る今日この頃です。カーナビがあるとは言え、昔、小学校の先生が家庭訪問の際にある程度時間を決めて生徒に家の前に立っているよう指示された気持ちもよくよく判ります。
訪問診療センターは財政的にもマン・パワー的にも限られた中での試みです。
いろいろな課題が山積しています。
なかなか成果が目に見えない仕事ですが、”To cure sometimes, to relieve often, to comfort always, this is our work”をモットーに頑張っています。
是非、多くの患者さん、ご家族のご利用をお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。


平成21年7月3日記

信州大学医学部附属病院難病訪問診療センター
センター長 吉田邦広



吉田センター長センターの専用車、実際に患者さんのご自宅へうかがう際は、ステッカーははずしています。

ニュース&トピック トップ

▲このページの先頭へ