信州がんセンター公開講座 【骨転移の治療について-QOL維持のための治療選択ー】を開催しました。

平成27年2月5日(木)、信州大学医学部附属病院 外来棟4階大会議室にて、一般の方、医療関係者を対象に信州がんセンター公開講座 【骨転移の治療について-QOL維持のための治療選択ー】を開催しました。

講師はリハビリテーション部の吉村 康夫先生です。

雪の予報で心配した空模様でしたが、多くの方がお越しになり真剣に聴講されていました。先生のやさしい声や、話すスピードが安心感を与えてくれます。痛い所がでてきたら診て欲しい、リハビリの相談に乗って欲しいと思った方がいたのではないでしょうか。

骨転移とは何なのか?どんなことが起こるのか?治療は???・・・・きちんと整理して順序良く分かりやすくお話をしてくれました。耳に聞き慣れているレントゲン、ちょっと聞くだけで心配や不安になってくるCT、MRI、骨シンチグラフィー、PETなどの検査ですが、それぞれの検査の特徴と何のための検査なのか説明してくれました。


骨転移の治療のポイントは①早期発見と早期治療でQOLが維持改善される。②いろいろな治療を組み合わせる。③骨折、麻痺のリスクを評価(予測)しながら治療のタイミングを逃さないようにする。


医師は患者さんひとりひとりの状態に合わせて目的にあった検査を行い、結果から状態を確認をして、がんの骨転移の早期発見に努めてくれています。きっかけは患者さんからの『痛み』の訴えで、骨転移は原則として無治療であれば進行するそうです。

国立がん研究センターのデータに基づいた骨転移の発生頻度は、全国のがん患者全体の約10%。

骨転移のできやすい部位や、転移を起こしやすいがんは男性では肺がん・腎臓がん・前立腺がん、女性では乳房のがん・肺がん・甲状腺がんと違いがあり、年齢別では60歳代70歳代50歳代の順で多いと教えてくれました。


吉村先生からがん治療歴がある患者さんへのアドバイスの一部を紹介します。①短期間で良くならない痛みを感じたら主治医に相談しましょう。②整形外科を受診する場合は治療歴を話しましょう。がんの治療歴がない場合、痛みが良くならないときにすぐに病院を変えない。病院を変える場合は、紹介状を書いてもらいましょう。


年齢と共に腰や足などに痛みを感じて整形外科を受診される多くの方の中から、骨転移を見つけ出すのは難しさがあるそうです。整形外科にかかる時は先生のアドバイスを是非活かしてください。公開講座でがんの骨転移を取り上げるのは初めてでしたが、情報提供の機会が少ないだけに、必要としている人が多く、有意義な内容でもあると再認識しました。さて、平成27年度も信州がんセンター公開講座は続きます。ご期待ください。