信州大学医学部附属病院

文字サイズ
拡大
標準
EN JP
がんゲノム医療拠点病院

がんゲノム医療拠点病院

がんゲノム医療拠点病院

がんゲノム医療とがんゲノムパネル検査

がんゲノム医療とは

私たちの体は、約37兆個もの細胞からなっています。細胞の中には「核」と呼ばれる大切な部分があり、その中に遺伝子を乗せた「染色体」が入っています。ゲノムとは、染色体に含まれるすべての遺伝子と遺伝情報のことです。「がんという病気」は、ゲノムの変化に伴って塩基配列の違いなどが生じ、遺伝子が正常に機能しなくなった結果、起こる病気といわれています。一部のがんでは、特定の遺伝子の異常に対して特異的に効果性が高い薬剤が開発されてきました。例えば乳がんにおけるHER-2遺伝子増幅、非小細胞肺がんにおけるEGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子、悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子変異などで、これらに対する分子標的薬による治療が既に保険診療で行われています。
がんゲノム医療とは、がんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ(がん遺伝子パネル検査)、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。

保険適応となるがんゲノムパネル検査

当院では平成27年12月より自由診療でがん遺伝子パネル検査を実施してきました。 さらに現在は「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」と「FoundationOneR CDxがんゲノムプロファイル」という2種類のがん遺伝子パネル検査が保険収載され、保険診療での検査を開始しています。

保険適応の対象となる患者さんは、下記の通りです。

  1. 下記のいずれかの診断を受けた方
    • 標準的な治療法が確立されていない希少がんや原発不明がんの方
    • 標準治療が終了となった、あるいは終了が見込まれる固形がんの方
  2. 全身状態や臓器機能等から、がん遺伝子パネル検査施行後に、化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した方

ご自身が対象となるかどうかは、現在治療を受けられている主治医とご相談ください。 なお保険診療とは別に、保険外診療(自費での診療)のがん遺伝子パネル検査も行っています。

がんゲノム外来の流れ

01.予約01.予約
患者さんから直接の予約は受け付けていません。まずは主治医にご相談ください。主治医から「がんゲノム外来」へ紹介をお願いします。紹介内容と遺伝子パネル検査に提出する検体の適正を審議し、適正とみなされた段階でゲノム担当者より直接患者さんへ受診日のご連絡をします。
02.受診02.受診
がんゲノム外来はあくまで検査外来です。検査の内容や費用等を説明する外来です。
03.検査03.検査
患者さんからの同意取得後、検体を検査に提出します。結果が出るまでに約2か月かかります。
04.結果説明04.結果説明
検査結果が出ましたら、こちらから結果説明の受診日の打ち合わせを行います。打ち合わせた予約日に受診して説明をさせていただきます。

問い合わせ先

信州がんセンター がんゲノム担当
Tel/Fax 0263-37-3595

費用について

保険診療の検査料金56万円の1-3割が患者さんの自己負担となります。検査提出時と検査結果説明時の2回に分けて料金が発生します。高額療養費支給の対象となる場合があります。
当院では対象者によっては、保険外診療(自費診療)でがん遺伝子パネル検査も行っています。その場合にはご相談ください。

がんゲノム外来(医療者向け)

平素より当院の診療にご協力いただきありがとうございます。 がんゲノム医療外来の受診を希望される場合は、「がんゲノム外来について」をお読みいただき、内容をご理解いただいた上で、がんゲノム医療外来に受診申込をしてください。

  1. まず、患者紹介に関する情報提供書を、郵送またはFaxにて当院信州がんセンター がんゲノム外来担当に送付をお願いします。紹介状の内容を拝見し、パネル検査の適応になるかを確認後、当院より検体郵送のご依頼をいたします。
  2. 郵送の依頼を受けたら、紹介状原本と、未染スライド標本とその検体の「病理診断書」および「検体情報提供書」、C-CAT入力(後述)用の「情報提供書」を下記宛にご送付ください。
    検査に使用する検体については、以下を参考にしてください。

がんゲノム医療外来について
検体情報提供書
C-CATへの入力必要事項

がん遺伝子パネル検査で使用する検体

がん遺伝子パネル検査には、下記の検体が必要です。

  • FFPE未染色スライド15枚+HE染色スライド1枚
  • 切片の厚さ:5μm
  • 切片表面の面積目安:25mm2以上
  • 有核腫瘍細胞割合:20%以上

未染色スライド作製

未染色スライドは正電荷スライドグラス(剥離防止コートスライドグラス)を用い、伸展・乾燥のための加熱は避け、常温で管理してください。
スライドには患者氏名を鉛筆で記載してください。
検体の状況によって、追加の検体もしくは薄切ブロックの変更を依頼する場合があります。

スライド作製

連絡先・送付先

電話でのお問い合わせ/ご連絡
信州がんセンター がんゲノム担当
Tel/Fax 0263-37-3595

情報提供書および検体送付先
〒390-8621 松本市旭3-1-1
信州大学医学部附属病院 信州がんセンター がんゲノム担当者 宛
*封筒に「がんゲノム医療外来書類・検体在中」とご記載ください。

がんゲノム情報管理センター(C-CAT)情報登録事業

がんゲノムパネル検査提出の対象者は原則、国立がん研究センターに設置されたC-CATのデーターベースに登録され、C-CATが作成した当該患者に係る調査結果を用いてエキスパートパネル(多職種のがん医療専門者で行うカンファレンス)を実施することが求められております。
C-CATにはいくつかの必要な入力事項があり、これらの入力をしないと検査提出も不可となります。ご紹介いただく際には、C-CATへの入力必要事項を記述していただき紹介いただくようにご協力をお願いします。
C-CATへの入力必要事項
また、紹介いただいた患者の主治医には可能であればエキスパートパネル参加をお願いします。その詳細につきましては、別途ご案内させていただきます。

がんゲノム医療に関心のある医療者の方へ

がんゲノム医療のパネル検査は、がんゲノム医療拠点病院およびその連携病院からのみ提出可能です。がんゲノム医療はまだまだ始まったばかりで、課題も多い領域です。当院では、がんゲノム医療の推進や治験の獲得に鋭意努力を重ねていきます。
また、がんゲノム医療への医療者の育成のための短期研修なども受け付けます。
以下を参照の上ご連絡ください。

北信がんプロフェフェショナル育成プラン
信州がんセンター
遺伝医療研究センター

パネル検査の利点と限界

がん遺伝子パネル検査を受けることで、あなたのがんの遺伝子異常が判明し今後の治療選択に役立つ情報が得られる可能性があります。しかし、今までの医学研究でがんにかかわる遺伝子が数多く見つかってきていますが、あなたに見つかった遺伝子の異常に対して有効な薬剤が存在しない場合もあり、これが医学の限界です。よってこの検査を受けても、あなたの治療選択に有用な情報が何も得られない可能性や、解析に用いた検体の品質や量によっては、解析自体が不成功に終わる可能性があります。
本検査の結果、下記の治療法の提示が可能になる場合があります。

  • 治療効果が期待できる国内で承認済みの治療薬に関する情報
  • 治療効果が期待できる国内で臨床試験・治験に関する情報
  • 治療効果が期待できる国内未承認、海外で承認済みあるいは臨床試験・治験に関する情報

なおこの検査によって治療効果が期待できる治療薬の情報が得られた場合でも、その治療薬の効果を保証するものではありません。さらにあなたに適した薬剤が見つかった場合でも、以下のような場合には、あなたの治療法として選択できない場合があります。

  • 日本国内では販売が承認されていない薬剤の場合
  • あなたのがんへの適応が認められていない薬剤の場合
  • あなたが参加条件を満たさない臨床試験・治験でのみ使用されている薬剤の場合など

この検査を受けた方のうち、検査結果に基づいた治療を受けられるのは現時点で約1割程度に留まると想定されます。現在のところ約9割の患者さんは、この検査を受けても、検査の結果がご自身の治療に直接つながらないとされます。

検査後の治療について

当外来は検査外来です。
がん遺伝子パネル検査は、現在通院中の主治医の判断に必要な情報を提供するものであって、検査後の治療は現在治療を行っている主治医の判断となります。
この検査の結果が、主治医の判断よりも優先されることはありません。

遺伝カウンセリング外来

がんの一部では持って生まれた遺伝子の特徴(両親から受け継がれた生殖細胞系列バリアント)が原因の,「遺伝性腫瘍」であることが分かっています。今回のがん遺伝子パネル検査ではこの生殖細胞系列の遺伝子異常が見つかる可能性もあります。見つかった場合に専門的なサポートを行うため、信州大学医学部附属病院の遺伝医療研究センターで、臨床遺伝専門医の「診察」や認定遺伝カウンセラー等による「遺伝カウンセリング外来」を開設しています。遺伝性腫瘍が疑われた場合、ご不安がある場合にも、遺伝カウンセリング外来の受診をお勧めします。

詳しくは遺伝医療研究センターのサイトをご覧ください。