包括同意について

病院からのお願い

包括同意について

~診療を受けられる患者さんへ 包括同意についてのお願い~

1.はじめに

信州大学医学部附属病院(以下「本院」という。)では,「基本理念,目標,職業倫理方針」に則した診療を実施しております。
また,本院は診療,教育,研究を遂行する大学病院としての使命を有しています。このため,本院に来院する傷病者,妊婦,新生児等すべての人(以下「患者さん」という。)の人権を尊重した先進的医療を行うとともに,次世代を担う医療人(学生,研修医,看護師等)の育成も行っております。
さらに,臨床研究の場である大学病院は,その特徴を最大限に活かして,新たな診療法を開発する社会的使命を有しており,医学の進歩を目指して臨床研究,医学研究も行っております。
このような診療,教育,研究を円滑に進めるため,本院では,患者さんに以下の方法を用いて「説明と同意」の確認をさせていただいております。
第一に,書面(又は口頭)で説明し,書面(又は口頭)で同意をいただく方法(個別同意)。第二に,一定の基準の元にそのような手続きを経ないで実施する方法(包括同意)に分けて対応しています。
ここでは,各項目に分けて包括同意に関し説明させていただきますので,本院の診療,教育,研究の役割にご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
また,この包括同意に関しては,ご本人からのお申し出により,診療等に支障のない範囲内で不同意等の意思表示が可能です。なお,包括同意への意思表示の内容は,本院で受ける診療に一切影響を与えるものではありません。

2.個人情報保護方針について

本院に来院する患者さんは,診療をお受けになると身体状況,病状,治療計画等の診療情報からカルテ等の診療記録が作成されます。
この診療記録には貴重な個人情報が多く含まれております。本院では,その取扱いにつきましては,個人個人の人格の尊重を基本的な理念として持ち,取扱うことが最重要のことであると考えており,患者さんの権利利益の保護を最優先に考え個人情報の取扱いの適正化を図るよう努力しております。
本院は,「診療,教育,研究を遂行する大学病院としての使命を有し,また患者さんの人権を尊重した先進的医療を行うとともに,次代を担う国際的な医療人を育成する。」との理念のもと,本院における診療記録に含まれる貴重な個人情報を,医療機関として,また,教育研究機関として利用させていただきたいと思いますので,改めてご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後に本院では,個人情報の重要性を認識し,個人情報に関する法律等を遵守することにより,個人情報保護に万全を尽くしてまいります。

個人情報について

本院では取得した患者さんの貴重な個人情報を含む記録を,医療機関としてだけでなく教育研究機関として所定の目的に利用させていただきますので,ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
(1)患者さんの個人情報は,各種法令に基づいた諸規定を守ったうえで別記の目的に利 用されます。
(2)上記利用目的以外に患者さんの個人情報を利用する場合は,書面により患者さんの同意をいただくことといたします。
(3)患者さんに関する外部からの問い合わせ等には,次のように対応します。
・電話等による問い合わせの場合,原則としてお答えいたしません。
・入院患者さんは,お申し出いただくことで,面会を希望しないことができます。
(4)患者さんの同意がなければ,原則として,患者さん以外の方から情報の収集は行いません。
(5)患者さんは,ご自身の個人情報に関して次の権利があります。
・患者さんは,所定の手続きのうえ,自己の個人情報の開示を請求することができます。また,本院において以前より行っているカルテ,フィルム等の開示手続きによっても開示の請求が可能です。なお,開示には本学所定の複写料が必要になります。
・患者さんは,開示を受けた自己の個人情報の内容について,所定の手続きのうえ,訂正を請求することができます。
・患者さんは,自己の個人情報が不適切な取扱いをされていると思われる場合は,所定の手続きのうえ,自己の個人情報の利用の停止,消去,提供の停止を請求することができます。
・患者さんは,上記権利の決定等に関して不服がある場合は,本院に対して異議申し立てをすることができます。
(6)防犯カメラについて
本院では,病院の管理上,カメラや録音装置を設置しております。その記録は,病院の管理上使用するものであり,外部に公表することを目的としたものではありません。ただし,裁判所,警察署から協力依頼があった場合は,提供することがあります。
(7)診療中の画像について
本院では,患者さんの治療に必要な場合は,病巣等の評価及び治療方針等を決定するため,診療中の様子をカメラ等で撮影,録音し必要な情報を得ております。これらの情報は,教育研究機関として,医師等の育成等に利用することがあります。

別記:本院における患者さんの個人情報の利用目的

1)本院での利用
①患者さんがお受けになる医療サービス
②医療保険事務
③患者さんに関係する管理運営業務(入退院等の病棟管理,会計,経理,医療事故等の報告,医療サービスの向上)
④医療サービスや業務の維持,改善のための基礎資料
2)本院及び大学での利用
(以下①から③の利用に際しては,可能な限り匿名化するよう努力します。)
①医療系教育(学生の臨床実習,医療従事者の研修)
②症例に基づく研究(研究活動を実施する際に,実施に関する法令や倫理指針,関係団体等のガイドライン等が定められている場合は,それに沿って誠実に遂行いたします。)
③外部監査機関への情報提供又は閲覧(法令等に基づく監査,検査,委員会等)
3)他の事業者への情報提供
①他の病院,診療所,助産所,薬局,訪問看護ステーション,介護サービス事業者等との医療サービス等に関しての連携
②他の医療機関等からの医療サービス等に関しての照会への回答
③患者さんの診療等にあたり外部の医師等の意見,助言を求める場合
④検体検査業務の委託,その他の業務委託
⑤患者さんの家族への病状説明
⑥医療保険事務(保険事務の委託,審査支払機関へのレセプトの提出)
⑦本院からの審査支払機関又は保険者への照会
⑧審査支払機関又は保険者からの照会への回答
⑨関係法令等に基づく行政機関及び司法機関等への提出等
⑩関係法令等に基づき事業者等からの委託を受けて健康診断を行った場合における事業
者等へのその結果通知
⑪医師賠償責任保険等に係る医療に関する専門の団体や保険会社等への提供又は届出等
⑫臨床研修医の研修評価,医学生の臨床教育評価に係る個人情報を含まない経験症例等
記録の大学病院医療情報ネットワークへの提供

3.検査,診療行為について

本院では,書面で正式な説明同意をいただく診療項目と,口頭及び掲示で説明と同意確認をさせていただく診療項目に分けて,対応させていただいております。
以下の検査,診療行為の中には,医師が立ち会う必要がないものが多く,患者さんへの心身へのご負担も少ないものです。診療を円滑に進めるために,これらの診療項目については,説明と同意確認を口頭又は掲示で対応させていただいております。
(1)【一般項目】
問診,視診,身体診察,体温測定,身長測定,体重測定,血圧測定,リハビリテーション,栄養指導,食事の決定,カメラ等による患部撮影等
(2)【検査,モニター】
血液学検査(血液等の採取),尿・糞便等検査,微生物学的検査(痰・唾液等の採取),検体の病理・細胞診検査,生理機能検査(心電図検査,脈波検査,呼吸機能検査,脳波検査,超音波検査,筋電図検査等),X線一般撮影検査,X線透視撮影検査,造影剤を用いないCT,MRI,RI(アイソトープ)検査,心理検査,経皮酸素飽和度測定検査,動脈圧測定検査,モニター(BISモニター(脳波を元に麻酔薬の効果を推定するモニター),筋弛緩モニター等),皮内反応検査(パッチテスト,皮内テスト,スクラッチテスト,ツベルクリン反応,最小紅斑量測定等),免疫学的検査(ウイルス検査等)
(3)【処置】
静脈血採血,動脈血採血,動脈留置針挿入,痰等の吸引,胃管カテーテル,膀胱留置カテーテル,う歯(虫歯),歯周病,義歯の検査と治療,口腔ケア等の処置,マウスピース作成・装脱着,チューブやドレーン類の固定・脱着,創傷の処置,抜糸,抜釘,小皮膚切開,縫合,ドレーン挿入・抜去,簡単なデブリードマン,涙管洗浄,ブジ挿入,鼻内処置,口内処置,睫毛脱毛,爪切り,点眼処置
(4)【投薬,投与】
通常の投薬,注射,末梢静脈内留置針挿入(点滴路の確保),持続皮下留置針挿入,酸素投与等
上記の診療行為は,一定以上の経験を有する者によって行われますが,それでも時に出血,痺れ,アナフィラキシー,その他予期せぬ合併症を伴うことがあり得ます。
このような場合は,合併症の治療は通常の保険診療として行われます。あらかじめ,ご理解いただきますよう,お願いいたします。
(5)【診療のために必要な画像等】
診察室,手術室,ICU(集中治療室),HCU,高度救命救急センター,南4病棟LD室,MF室,各病棟の重症室,放射線治療室,MRI室,CT室,透視室では,治療上必要な場合は,患者さんの検査,診療行為,歩行等の様子をカメラ等による撮影,録音,記録,保管させていただいております。

4.学生等の実習について

本院は,診療を行う医療機関であると共に,教育研究機関として医療の「教育」と「研究」を使命とし,次世代を担う医療人育成を行っております。その一環として,学生等の実習生を受け入れて,教員指導下に教育を行っており,学生等の実習生が診察等に同席させていただくことがあります。患者さんには,ご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。

5.診療に伴い発生する情報の利用について

現在,本院が提供している治療は,現時点でもっとも良いと科学的に評価されている治療法が中心になっています。医療は,研究を積み重ねることによって進歩を続けてきました。そのため,新しい治療法や診断法等を開発する研究には,患者さんから得られる情報が不可欠です。本院でも,診療を行うとともに医学の発展に寄与するような臨床研究や基礎研究を行っており,その際には,診療に伴って発生する情報を利用することが必要な場合があります。患者さんには,ご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。

(1)【診療に伴い発生する情報とは】
本院で診療を受けると,診療録(カルテ),X線写真,患部の画像等のデータ,血液検査,病理検査,生理機能検査結果(心電図,各種超音波検査,聴力検査,平衡機能検査,呼吸機能検査等)の診療情報が集められます。
また,血液や尿等の検査試料,診断のための生検(胃内視鏡検査等の際に組織の一部を採取すること)した試料,手術で切除した組織等の試料が集められます。
これらの集められた診療情報及び試料は,診療に必要なものとして,保管されていますが,その後,診療上不必要となった場合でも,医学研究・教育のための大切な情報となります。
本院では,これらの情報を病気の発生,進行,再発,予後等との関わりや,病気に伴う症状,治療の効果,副作用等について研究する目的で利用することがあります。
(2)【情報の提供】
本院では,すべての患者さんにこれらの情報のご提供をお願いしています。この情報提供は,自由意思によります。原則として,不同意の意思表示がない場合は,同意をいただいたものとみなして医学教育・研究に利用させていただきます。
(3)【秘密の保持】
情報の提供によって,患者さんに直接の危険性が及ぶことはありません。しかし,万が一個人情報等が漏れてしまった場合は,患者さんが不利益を被る可能性があります。このため,本院では,考え得る危険性を避けるため,厳重な機密保持の方策を採っています。情報は匿名化して扱いますので,研究責任者及び関係者以外は,患者さんの氏名等と結びつけることはできません。また,研究によって得られた成果を学会や科学専門誌等に発表する場合にも,個人が特定されることはありません。

6.包括同意について,ご不明な点がある場合又は意思表示をされる場合

包括同意について,ご不明な点がある場合又は意思表示をされる場合につきましては,医療安全相談室(外来棟1階中央受付1番窓口)にご相談ください。それぞれの担当部署等をご案内いたします。

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