悪性黒色腫に対する新型ウイルス療法の医師主導治験で高い治療効果を確認
――世界初の免疫刺激型第三世代がん治療ウイルス薬の実用化が目前――
発表のポイント
◆進行した未治療の悪性黒色腫患者を対象にして、新型の第三世代がん治療用ヘルペスウイルス(T-hIL12)の医師主導治験が実施され、中間解析で高い治療効果と安全性が示されました。
◆T-hIL12は、悪性神経膠腫(脳腫瘍)の治療薬として市販されている第三世代がん治療用ヘルペスウイルスG47Δに、強力な抗がん免疫刺激の機能を付加した新しいウイルス療法薬で、本治験の有効性が確実となったため、製造販売承認申請の実現性が高いです。
◆複数のがん治療用ヘルペスウイルス薬が承認されるのは世界初となる見込みであり、世界をリードするウイルス療法開発技術を有する我が国では、T-hIL12を第一弾として、今後もG47Δにさまざまな新機能を付加した次世代のウイルス療法薬の開発が進みます。
概要
信州大学医学部附属病院 皮膚科 奥山隆平教授と東京大学医科学研究所 附属先端医療研究センター 先端がん治療分野(同研究所附属病院 脳腫瘍外科)藤堂具紀教授らの研究グループは、抗がん免疫を引き起こす能力を強化した機能付加型の第三世代のがん治療用ヘルペスウイルス(T-hIL12(ティー・エイチアイエルじゅうに))を用いた悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ、皮膚がんの一種)の医師主導治験において、中間解析の結果、T-hIL12の高い治療効果を確認しました。治療効果の検討を目的とした第Ⅱ相臨床試験(注1)で、切除不能又は転移性悪性黒色腫の未治療患者に対し、4回の腫瘍内投与を行ったところ、ウイルス投与後24週経過した9例において、主要評価項目である奏効率(がんが消失あるいは縮小した患者の割合)が77.8%(7/9)であり、対照となる標準治療の奏効率(34.8%)と比較して極めて高い有効性を示しました。一方、T-hIL12投与後に生じた副作用のうち最も頻度が高かったのは一時的な発熱と一時的なリンパ球数減少で、第Ⅰ相臨床試験で示されていた高い安全性が再確認されました。
ウイルス療法は、がん細胞に感染させたウイルスが増えることによって直接がん細胞を破壊する手法で、革新的ながん治療法として期待されます。T-hIL12は悪性神経膠腫(脳腫瘍)を適応症として2021年に国内で市販が開始されたG47Δ(ジーよんじゅうななデルタ、一般名 テセルパツレブ、製品名 デリタクト注)に免疫刺激機能を付加した新型ウイルスで、その開発は、発明から医師主導治験に至るまで、研究者だけで推し進めてきました。本治験の有効性が確実となったことを受けて、悪性黒色腫を適応症としたT-hIL12の製造販売承認申請(注2)の実現性は非常に高く、今後治験を加速させます。日本のウイルス療法の開発技術は世界をリードしており、T-hIL12が承認されれば、世界初の機能付加型の第三世代がん治療用ヘルペスウイルス薬となる見込みです。
発表内容
【悪性黒色腫について】
悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ、メラノーマ)は、メラニン色素産生能を有するメラノサイトのがん化によって生じる悪性腫瘍で、主に皮膚及び粘膜部に発生します。転移を起しやすく、原発性皮膚がんによる死亡のおよそ半数を占める難治性の皮膚がんです。切除可能な悪性黒色腫は切除によって局所再発の減少や生存率の改善などが期待されますが、転移が生じると治癒は難しくなります。近年、本邦では、進行期悪性黒色腫を適応対象とする免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が承認され治療に用いられています。しかし、免疫チェックポイント阻害薬においても奏効率は単剤で約10~30%台に過ぎず、疾患特異的生存期間の中央値も1.5年前後と、その治療効果は必ずしも十分ではありません。また免疫チェックポイント阻害薬による重い副作用も治療上問題となります。こうした背景から、ウイルス療法のような、全く新しい機序による治療手段の開発が待ち望まれています。
【がんのウイルス療法、単純ヘルペスウイルス1型、G47Δとは】
がんのウイルス療法とは、がん細胞のみで増えることができるウイルスを感染させ、ウイルスが直接がん細胞を破壊する治療法です。ウイルス療法では、遺伝子工学技術を用いてウイルスゲノムを「設計」して、がん細胞ではよく増えても正常細胞では全く増えないウイルスを人工的に造って臨床に応用します。がん細胞だけで増えるように工夫された遺伝子組換えウイルスは、がん細胞に感染するとすぐに増殖を開始し、その過程で感染したがん細胞を死滅させます。増殖したウイルスはさらに周囲に散らばって再びがん細胞に感染し、ウイルス増殖、細胞死、感染を繰り返してがん細胞を次々に破壊していきます。一方、正常細胞に感染した遺伝子組換えウイルスは増殖できないような仕組みを備えているため、正常組織は傷つきません(図1)。
1990年代以降に欧米で始まった、遺伝子組換えウイルスを用いたウイルス療法の臨床開発は、近年世界で競争が加速しています。中でも、単純ヘルペスウイルス1型を応用した開発が先頭を走っており、2015年には大手製薬企業が開発した第二世代のがん治療用ヘルペスウイルス製品(talimogene laherparepvec)が悪性黒色腫の治療薬として欧米で認可されました。
単純ヘルペスウイルス1型は、口唇に水疱をつくるウイルスとして知られ、成人の血清抗体保有率は50~70%であり、多くの人は感染したことに気づかないまま過ごしています(不顕性感染といいます)。単純ヘルペスウイルス1型はごくありふれたウイルスですが、がん治療に有利な特長を多く備えています。その主な特長は、1)ヒトのあらゆる種類の細胞に感染できること、2)細胞を殺す力が比較的強いこと、3)抗ウイルス薬が存在するため治療を中断できること、4)患者がウイルスに対する抗体を持っていても治療効果が弱くならないこと、などです。単純ヘルペスウイルス1型のゲノムから、正常細胞での増殖では必要でがん細胞では不要なウイルス遺伝子を取り除くことで、がん細胞だけで増えるウイルスを人工的に造ることができます。
G47Δは、そのような条件を満たす3つのウイルス遺伝子を改変した世界初の第三世代遺伝子組換えヘルペスウイルスです。G47Δは、それまでのがん治療用ウイルスに比べて安全性と治療効果が格段に高くなっています。G47Δは2つの機序を介して抗がん作用を現します:1つめは、がん細胞にG47Δが感染して細胞内で増殖し、がん細胞を直接破壊します。増えたG47Δは、周囲のがん細胞に感染し、がん細胞を次々に破壊していきます。G47Δは際限なく増えるのではなく、一定の期間増えたあと免疫に排除されます。2つめは、がん細胞で増えたG47Δを免疫が排除する過程で、破壊されたがん細胞もG47Δと一緒に免疫に処理される結果、がん細胞が免疫系に初めて非自己として認識されて免疫の攻撃対象となります。がん細胞に対するこのワクチン効果がG47Δの大きな特徴で、抗がん免疫を効率よく惹起するために、G47Δを投与した部位のみならず、投与していないところにあるがんにも免疫を介して効果が期待できます。またがん細胞が免疫系に認識されるため、G47Δで治療を行った患者は、免疫チェックポイント阻害薬が効く確率が高くなると考えられます。さらに、G47Δは、がんの根治を阻むとされるがん幹細胞をも効率よく破壊することが判っています。G47Δは悪性脳腫瘍、前立腺癌、嗅神経芽細胞腫、悪性胸膜中皮腫に対して国内で臨床試験が行われ、2021年に、悪性神経膠腫(脳腫瘍)を適応症として日本初のウイルス療法薬(再生医療等製品、一般名テセルパツレブ、製品名デリタクト注)として製造販売承認(条件及び期限付)され、市販が開始されました。
図1 ウイルス療法の概念
【T-hIL12(ティー・エイチアイエルじゅうに)とは】
T-hIL12は、G47Δの基本骨格に免疫を強力に刺激する因子であるインターロイキン12(IL-12)の遺伝子を組み込み、抗がん免疫を引き起こす能力を強化した藤堂教授らが作製した世界初の機能付加型の第三世代がん治療用遺伝子組換えヘルペスウイルスです(図2)。T-hIL12は、G47Δと同じ3つのウイルス遺伝子が改変されているため、G47Δと同様に高い安全性と強い治療効果が期待できます。さらにT-hIL12は、がん細胞に感染するたびにヒトIL-12を産生するため、G47Δの2つめの作用機序、すなわち抗がん免疫を介した効果を増強し、強力な抗がん免疫作用を呈します。
単純ヘルペスウイルス1型は、ウイルスのゲノムに任意の治療遺伝子を組み込むことにより、特定の抗がん機能を付加することが可能です。従来、新しい遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型を1つ作るのには多大な労力と時間を要しましたが、藤堂教授らは、G47Δの基本骨格に、任意の外来遺伝子を短期間に的確に組み込むことができる画期的技術を開発しました。この技術を用いることにより、さまざまな機能付加型G47Δを作製することが可能になりました。免疫を刺激する蛋白質の遺伝子をG47Δに組み込むと、抗がん免疫を引き起こす機能が一層増強したG47Δができます。動物実験などで、G47Δに組み込む遺伝子の候補となる複数の免疫刺激蛋白質を比較した結果、中でもIL-12が高い治療効果を示したため、機能付加型G47Δの臨床応用の第一弾としてT-hIL12の治験を進めてきました。T-hIL12は、G47Δよりさらに効率的に抗がん免疫を誘導して一層強い治療効果を発揮するため、T-hIL12を投与した部位のみならず、投与していない遠隔のがんにも免疫を介して治療効果が期待できます。実際、本治験においても、T-hIL12を投与していない遠隔病変や内臓への転移病変の縮小が観察されました。今後、承認申請と審査を経て、抗がん免疫刺激機能を付加した第三世代がん治療用ヘルペスウイルスとして世界初の承認薬となる見込みです。
図2 T-hIL12の構造:三重変異とIL-12遺伝子の組み込み
【医師主導治験】
臨床試験は、欧米ではクリニカル・トライアル(clinical trial)と一つの言葉で表されますが、日本では治験と非治験臨床試験(いわゆる臨床研究)という2種類に区別され、それぞれ異なる法令や審査ルートに従う必要があります。国から医薬品としての承認(製造販売承認)を受け、実臨床において患者が薬として使えるようにするためには、医薬品医療機器総合機構を窓口とする「治験」を行って臨床データを集めなければなりません。2003年に薬事法が改正され、製薬企業等と同様に治験の準備から管理を医師自ら行うことができるようになり、これを医師主導治験といいます。医師主導治験では医師自ら治験を実施できるようになりましたが、治験実施計画書等の作成から始まり、治験計画届の提出、治験の実施、モニタリングや監査の管理、試験結果を取りまとめた総括報告書の作成など、治験のすべての業務を医師自らが実施して統括しなければならず、多大な資金と労力を必要とします。2014年の薬事法改正でできた新しい薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、T-hIL12のような抗がんウイルスの薬は、再生医療等製品に分類されます。
【T-hIL12の臨床開発】
T-hIL12は、東京大学医科学研究所の藤堂教授らが開発した革新的ながん治療用ヘルペスウイルスであり、培養細胞や動物を用いた安全性や有効性の試験はもとより、治験に用いる製剤の製造も東京大学医科学研究所内の施設で研究チームが自ら行っています。現在、信州大学医学部附属病院と東京大学医科学研究所附属病院の2施設で臨床試験を進めています。この試験はT-hIL12を世界で初めてヒトに投与する、いわゆるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)臨床試験です。
本臨床試験は、薬機法に基づく医師主導治験で、第Ⅰ相と第Ⅱ相の2つの部分からなり、切除不能又は転移性の進行した悪性黒色腫が対象です。第Ⅰ相は標準治療の適応がない悪性黒色腫患者を対象に、腫瘍内への投与を行いました。T-hIL12の安全性が確認されたのちに第Ⅱ相に移行し、有効性を検討しています。第Ⅱ相では免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(製品名オプジーボ:抗PD-1抗体薬)を用いた標準治療を行う未治療患者を対象に、T-hIL12の治療を上乗せして、標準治療に比べて治療効果が高くなるかを検討する治験デザインとなっています。
この医師主導治験は、外国で承認されていながら国内未承認の薬、あるいは適応拡大を目指した医薬品などについて実施するものとは異なります。脳腫瘍を対象に実施されたG47Δの開発と同様、非臨床試験から治験薬製造、規制対応まで製薬企業が全く関与せずにアカデミアだけで医師主導治験の開始に至り、世界に先駆けて日本で開発を行う薬(再生医療等製品)であり、真のアカデミア発のトランスレーショナルリサーチ(注3)です。
本治験の正式名称は「悪性黒色腫患者を対象としたインターロイキン12発現型遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験」(治験責任医師:奥山隆平)であり、2019年5月17日に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届を提出しました。日本では、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に則って、遺伝子組換えウイルスの製品開発における臨床使用には、環境大臣と厚生労働大臣による「第一種使用規程」の申請と承認が、薬機法に基づく治験計画とは別途に必要です。今回の治験の開始にあたっては、医療現場における患者および医療チームの負担を可能な限り軽減した第一種使用規程案を2017年11月16日にPMDAに申請し、2018年11月9日付で申請が正式に受理されて、2019年5月31日付で承認されています。
本治験は、第Ⅰ/Ⅱ相の治験デザインとなっているため、1つの治験届で、悪性黒色腫に対するT-hIL12単独の安全性のみならず、有効性まで検討できます。G47Δに続く国産の遺伝子組換え抗がんウイルス製品として、またさまざまな機能を付加した次世代の抗がんウイルス製品の第一弾として、可及的早期の製造販売承認を目指します。
【本治験の概要】
対象疾患 :切除不能又は転移性悪性黒色腫(臨床病期III又はIV)
試験デザイン:第Ⅰ/Ⅱ相(注1)。医師主導治験。対照群のないオープンラベル試験。
実施施設 :2施設(信州大学医学部附属病院ならびに東京大学医科学研究所附属病院)
[第Ⅰ相試験]
対象 :標準治療が無効であった患者
投与方法 :腫瘍内投与。第1コホートでは2回、第2コホートでは4回。2週間間隔。
被験者数 :第1コホート3名、第2コホート3名
主要評価項目:安全性の評価
副次評価項目:奏効率、全生存期間、無増悪生存期間、腫瘍縮小効果
[第Ⅱ相試験]
対象 :未治療患者
投与方法 :腫瘍内投与。第Ⅰ相で決定した回数(4回)。2週間間隔。
標準治療(ニボルマブ)に上乗せ。
被験者数 :18名(予定)
主要評価項目:奏効率
副次評価項目:安全性の評価、全生存期間、無増悪生存期間、腫瘍縮小効果
観察期間 :T-hIL12投与後24週間
【第Ⅱ相の中間解析結果の概要】
第Ⅱ相は、切除不能又は転移性悪性黒色腫の未治療患者で、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(製品名オプジーボ:抗PD-1抗体薬)を標準治療に用いる患者を対象に、T-hIL12の治療を上乗せした場合に、標準治療に比べて治療効果が高くなることを有効性として検討する治験デザインとなっています。18名の被験者を予定して2021年7月から被験者登録を開始しました。治験実施計画上、9例目の被験者の観察期間(ウイルス投与後24週間)が終了した時点で中間解析を実施する計画となっており、2025年1月に中間解析を実施しました。その結果、主要評価項目(治験の有効性を判定する主な基準)に設定していた奏効率(がんが消失あるいは縮小した患者の割合)が77.8%(9例中7例)を示し、対照として設定していた標準治療の奏効率34.8%(日本人の悪性黒色種を対象に実施されたニボルマブの臨床試験結果)に比べ極めて有意に高く、T-hIL12が高い治療効果を呈することが確認され、本治験の有効性が確実となりました。一方、中間解析の時点における被験者9例の安全性を解析したところ、主な副作用は一時的な発熱及び一時的なリンパ球数減少が各9例(100%)、AST増加が7例(77.8%)、A LT増加が4例(44.4%)で、第Ⅰ相臨床試験で示されていた高い安全性が、第Ⅱ相でも再確認されました。
有効性の解析
主要評価項目(9名)
奏効率:77.8% (7/9)
副次評価項目(9名)
全生存期間中央値:中間解析時点では中央値に達していない。
無増悪生存期間中央値:中間解析時点では中央値に達していない。
腫瘍縮小効果:最良総合効果は9名中7名がPR(Partial Response [部分奏効])、1名がSD(Stable Disease [安定])、1名がNE(Not Evaluable [評価不能])。
安全性の解析(9名)
主な副作用:発熱(100%)、リンパ球数減少(100%)、AST増加(77.8%)、ALT増加(44.4%)
Grade 3 [中等度]以上の副作用:リンパ球数減少(77.8%)、好中球減少(11.1%)、白血球減少(11.1%)、発熱(11.1%)
Grade 4 [重度]の副作用:リンパ球数減少(22.2%)
入院期間の延長が必要となったT-hIL12に関連した副作用:無
【今後の展開】
中間解析の結果、本治験の有効性が確実となりました。従って、悪性黒色腫を適応症としたT-hIL12の製造販売承認申請の実現性は非常に高く、今後治験を加速させます。可及的早期の治験完了と製造販売承認申請を目指します。更に、T-hIL12はあらゆる固形がんに有効であることが動物実験で示されており、悪性黒色腫だけでなく固形がん全般に適応が広がって、新しいがん治療モダリティとして普及することが期待されます。
【臨床試験への参加】
本治験に参加を希望される患者あるいは照会を希望される医療関係者は、次の信州大学医学部附属病院皮膚科もしくは東京大学医科学研究所附属病院脳腫瘍外科のホームページを経由してお問い合わせください。
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-hifu/doctor-led-trial/
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/glioma/research/form4/
本治験の問い合わせフォームに記入し、「送信する」をクリックしてフォームを送信してください。問い合わせフォームの受信を確認しましてから、治験チームよりご連絡致します。
発表者情報
信州大学 医学部 皮膚科
奥山 隆平(おくやま りゅうへい)教授
日本ウイルス療法学会 理事
東京大学医科学研究所 附属先端医療研究センター 先端がん治療分野
(同研究所 附属病院 脳腫瘍外科)
藤堂 具紀(とうどう ともき)教授
日本ウイルス療法学会 理事長
研究助成
内閣府「最先端研究開発支援プログラム」(平成21(2009)年~平成25(2013)年度)「未解決のがんと心臓病を撲滅する最適医療開発」
日本医療研究開発機構(AMED)「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」(平成27(2015)年度)「IL-12発現型がん治療ウイルスを用いた悪性黒色腫のウイルス免疫療法開発」
日本医療研究開発機構(AMED)「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」(平成28(2016)年度)「IL-12発現型がん治療用ウイルスを用いた悪性黒色腫に対する革新的ウイルス免疫療法開発」
東京大学医科学研究所共同研究(平成28(2016)年~現在)「IL-12発現型がん治療ウイルスを用いた悪性黒色腫のウイルス免疫療法開発」
日本医療研究開発機構(AMED)「革新的医療技術創出拠点プロジェクト/橋渡し研究戦略的推進プログラム」(平成30(2018)年~令和2(2020)年度)「IL-12発現型がん治療用ウイルスを用いた悪性黒色腫に対する革新的ウイルス免疫療法開発」
日本医療研究開発機構(AMED)「橋渡し研究プログラム」(令和3(2021)年~令和5(2023)年度)「IL-12発現型がん治療用ウイルスを用いた悪性黒色腫に対する革新的ウイルス免疫療法開発」
東京大学医科学研究所ウイルス療法開発寄付研究部門研究費(令和6(2024)年度)
日本医療研究開発機構(AMED)「革新的がん医療実用化研究事業」(令和7(2025)年~現在)「IL-12発現型がん治療用ウイルスを用いた悪性黒色腫に対する革新的ウイルス免疫療法開発」
用語解説
(注1) 第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験
医薬品の開発は一般的に、安全性を調べる第Ⅰ相、比較的少数の被験者を対象にして治療効果を調べる第Ⅱ相、多数の被験者を対象に治療効果を検証する第Ⅲ相の3段階で臨床試験を行います。今回の医師主導治験は、第Ⅰ相と第Ⅱ相を続けて実施する計画です。がんを対象とする医薬品開発の場合は、一般的に、標準治療で効果が得られなかった被験者を対象に第Ⅰ相試験を行います。第Ⅱ相試験は、一般に、開発する医薬品の治療効果を、標準治療と比べます。本治験でも、第Ⅰ相試験では標準治療で効果が得られなかった被験者を対象にT-hIL12を単剤で使用しました。第Ⅱ相試験ではT-hIL12治療を標準治療に上乗せし、標準治療より良い治療成績が得られるかどうかを検討する治験デザインとなっています。第Ⅲ相試験を行うためには、多数の被験者の参加が必要となります。悪性黒色腫のような希少ながんの場合は、第Ⅲ相試験を行うことが困難であるため、しばしば第Ⅱ相試験までで有効性を確認します。
(注2) 製造販売承認申請
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)に基づいて、医薬品等の製造および販売の承認を厚生労働省に申請することです。T-hIL12のようなウイルス療法薬は、平成26年11月25日に施行された医薬品医療機器等法では再生医療等製品に分類されます。いわゆる製薬企業が申請できます。医薬品医療機器総合機構により、企業としての責任体制の審査、製品の有効性・安全性等の審査、製品の生産方法・管理体制の審査など、さまざまな審査がなされます。
(注3) トランスレーショナルリサーチ
医療につながる基礎研究成果を臨床における実用化に橋渡しする開発研究を指します。知的財産権の確保、臨床に用いる製剤の製造・品質試験・安定性試験、動物を用いた安全性試験、臨床試験実施計画の作成、規制対応など、数多くのプロセスを経ます。また、多大な開発資金と多大の労力を必要とします。
問合せ先
<研究内容について>
国立大学法人東京大学医科学研究所 附属先端医療研究センター 先端がん治療分野
(同研究所 附属病院 脳腫瘍外科)
担当:藤堂教授室
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/lab/advancedclinicalresearch/section05.html
国立大学法人信州大学医学部 皮膚科学教室
担当:奥山教授室
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-hifu/intro/staff-intro/
<機関窓口>
国立大学法人東京大学医科学研究所 事務部管理課
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/
国立大学法人信州大学医学部附属病院 総務課総務係
https://wwwhp.md.shinshu-u.ac.jp/
一般社団法人日本ウイルス療法学会 事務局
https://jsovt.com