酒井康成さんが日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会において学会賞を受賞
2025年10月24日(金)および25日(土)に新潟市で開催された第35回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会において、当院リハビリテーション部の酒井康成さんの研究が、見事学会賞に選ばれました。
この賞は学術的・臨床的な成果や社会貢献度を含む、呼吸器疾患患者のQOL向上や医療の質改善に寄与する活動を評価する権威ある賞です。酒井さん本当におめでとうございます!
【受賞者:酒井さんからの言葉】
2025年度日本呼吸ケア・リハビリテーション学会・学会賞を受賞させていただきました信州大学医学部附属病院リハビリテーション部主任理学療法士の酒井康成と申します。この度、非常に名誉ある賞に選出していただき大変光栄に思うとともに、ご評価をしていただきました選考委員の先生方ならびに私を推薦していただきました当院病院長の花岡先生に深く感謝申し上げます。
今回受賞した研究は、「間質性肺疾患患者における6分間歩行試験から得られる労作時 Desaturation評価の有用性」というタイトルで、入院中の間質性肺疾患患者を対象に、運動耐容能(体力)の指標である6分間歩行試験において観察される酸素濃度低下(Desaturation)の評価有用性を検討したものです。私は2017年に本研究の着想を得て、まず「SpO₂ Recovery Index」という指標が肺拡散能と強く関連し、さらに呼吸器イベントによる再入院に大きく影響することを明らかにしました。その後、6MWTで得られる「Desaturation level」が、在宅酸素療法導入時の酸素流量設定や携帯型酸素濃縮器の使用基準として有用であるかを検討しました。その結果、安静時の酸素濃度よりも6MWTで得られたDesaturation levelによる評価が、在宅酸素療法における労作時酸素流量および携帯型酸素濃縮器導入の指標として有用であることが示されました。さらに、6MWTを用いて労作時における酸素濃度を評価することは非常に簡便かつ標準化しやすく、在宅酸素療法処方の簡略化や導入を円滑に進めるうえで有用な指標であることが示唆されました。
今回の受賞を糧に、今後も診療業務に携わりながら、臨床研究にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。大学病院のリハビリテーション部の目標「アカデミックな組織」するという責務を念頭に、地域医療のさらなる発展、後輩の育成に貢献できるよう努力していきたいと思います。最後になりましたが、本当に名誉ある賞を頂くことができとても嬉しい思いです。ありがとうございました。
【花岡病院長より】
酒井康成君、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会賞、誠におめでとうございます。
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会は、1991年に日本呼吸管理学会として設立された、歴史と伝統のある学会です。本学会は、呼吸ケア/呼吸リハビリテーション分野の学術的な探求を通して、医療および医学研究への貢献を目指しており、医師のみならず看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、臨床工学技士、栄養士、薬剤師など多職種で構成されている点が特徴です。
酒井君は、運動負荷試験における低酸素血症が、間質性肺炎の治療や予後に関する指標として重要であることを示し、高く評価されました。
これからも、科学的な視点を忘れずに診療に励み、医学の発展や後進の育成に尽力をお願いします。![]()